日本陸軍は上陸作戦用の器材を研究し、上陸用舟艇の大発、小発などを開発しました。
それらの舟艇は貨物船に運ばれ、クレーンで海面に下ろしてから人員物資を積み込まなければなりませんでした。これでは迅速な上陸作戦ができないという事で、船内から人員物資を搭載したまま発進できる船が建造されました。これが世界初のドック型揚陸艦、「神州丸」でした。神州丸は世界初の強襲揚陸艦とよべるような船で、大発の迅速な発進はもとより、97式戦闘機も発進だけならできるといった能力を持っていました。しかし、実際に航空機を運用するには無理があり後日設備は撤去されました。
神州丸の成功により、陸軍は同様の特殊船を増やすことになりました。その中に航空機を運用することもできるよう飛行甲板を有した特殊船丙型としてあきつ丸は建造されました。
あきつ丸は開戦直後の昭和17年1月に完成し、蘭印攻略作戦に参加します。持ち前の舟艇運用能力により各上陸作戦に活躍しています。
しかし、せっかくの飛行甲板は、神州丸と同様に発船はできても着船はできない代物で、実戦には使用されませんでした。しかし、飛行甲板や格納庫に多数の航空機を搭載できるので、洋上航法の苦手な陸軍航空隊の移動に活躍することになります。
また輸送任務中は飛行甲板に臨時の船舶砲兵隊の89式重加濃砲や98式20ミリ高射機関砲が布陣することもありました。
大戦中盤は予想任務に活躍したあきつ丸ですが、戦争も後半になると米潜の攻撃により船舶の被害が増えてきました。そこで、砲兵観測用のオートジャイロ機、カ号観測機や三式指揮連絡機を搭載し、対潜哨戒任務に活用できるようにあきつ丸は改造されました。
改装されたあきつ丸は対馬近海で対潜哨戒を行います。この時は米潜との交戦はありませんでした。その後、風雲急を告げるフィリピン戦線へ増援部隊を輸送するヒ81号船団に参加します。
この船団は同じ陸軍の舟艇母船の神州丸、摩耶山丸、吉備津丸も参加し、海軍の商船改造空母神鷹が97式艦攻を搭載して対潜哨戒に加わるなど、大規模な船団でした。
フィリピンへ向かった船団は米潜のウルフパックにつかまり、あきつ丸もクイーンフィッシュの放った雷撃により轟沈し多くの乗員と乗船者が犠牲となりました。
以前はこのあきつ丸のような船はガレージキットでしか無く、インジェクションキットなど夢のようでしたが艦これで登場したおかげでアオシマからキット化がされています。
組み立ては左右の船体を合わせる構成で、船内には大発を並べる事もできます。外からは見えませんが。
製作に当たっては、船体はカチッと組み合わさるので組み立ては簡単です。しかし、飛行甲板を支える支柱が沢山の量がありますので、しっかり部品番号を間違えないようにつけていかないといけません。
飛行甲板の白線はデカールで用意されていますが、飛行甲板が少し中心からずれてオフセットとなっているので、デカールを貼る時の位置決めが少々難しいです。
組み立ては船体の甲板は木甲板ですので、船体組み立て後木甲板を塗装し、マスキング、その後飛行甲板も塗装しマスキングして、全部上部構造物をバラのまま船体色に塗装してから、組み立てています。最後に飛行甲板のデカールを貼って、小物部品を取り付けて完成です。
あきつ丸は改装後、濃淡2色のグリーン系の迷彩塗装を施されましたが、私自身はこの商船用の迷彩は悲壮感があるので、通常の軍艦色で塗装しています。
船体が軍艦色2で飛行甲板のラテックスは軍艦色1で塗装しています。
エレベーターは飛行甲板の後ろにあるという面白い構造になっています。
後ろの砲座には88式高射砲と対潜用の中迫が装備されています。
船尾の大発用のハッチは開閉どとらかの状態を選べるパーツ構成になっています。
付属の大発は船内には入れず、他の船に使おうと思います。
舟艇母船は構造上、船内に大発用の空間があるので、雷撃を受けると即、転覆してしまい乗船部隊に大きな被害が出てしまいました。しかし攻撃を受けない状態であれば、その輸送能力は素晴らしく、各船は輸送任務に大活躍しています。
海軍の空母と比べて、かなりシンプルな船橋と煙突です。
武装も海軍に比べたら少な目ですが、陸軍の船としては標準的な装備数です。
改装後の武装は88式高射砲4門と海軍式の96式25ミリ単装機関砲8挺、中迫を1門装備し、3式指揮連絡機を8機搭載していました。
大きさ的には君川丸などの特設水上機母艦や給糧艦伊良湖などと変わらない大きさです。
発着距離の短い3式指揮連絡機でも発着船は大変そうですね。
珍しい「陸軍の空母」コレクションの中でも異彩を放ちますのでおすすめの船です。
同じ舟艇母船には神州丸、にぎつ丸、摩耶山丸、吉備津丸、玉津丸、日向丸、摂津丸、高津丸、熊野丸などがあります。これらの船もそのうち出してもらえたら嬉しいです(#^^#)
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