愛国丸は大阪商船の南アフリカ航路向けに建造された貨客船です。姉妹船に報国丸と護国丸が建造されています。和辻氏設計の優美な船容ですが、愛国丸は一度も商業航海を経験せずに日本海軍に徴用され特設巡洋艦として改装されました。
愛国丸は15センチ砲を8門も装備し、13ミリ連装機銃2基と53センチ連装魚雷発射管を2基、水上偵察機2機と、特設艦船の中ではかなりの重武装でした。後に主砲を14センチ砲に換装、25ミリ連装機銃2基を増備しています。
開戦時、愛国丸は報国丸と第24戦隊を編成し、南太平洋上で開戦を迎えます。同戦隊は通商破壊作戦の任務を帯び、12月13日米貨物船、セント・ヴィンセントを撃沈、その後ニュージーランド方面で1月2日、米貨物船マラマを撃沈しています。しかし、特設巡洋艦での通商破壊作戦は警戒が厳しく、あまり活躍できず、第24戦隊は解散し、連合艦隊付属になります。
その後、潜水艦補給用の魚雷と燃料を搭載しペナンへ進出、インド洋で潜水艦部隊への補給と通商破壊を行います。5月9日、蘭タンカーのヘノタを威嚇射撃の末、鹵獲に成功します。ヘノタは後に海軍の給油艦大瀬として使用されます。その後7月12日にはニュージーランド船ハウラキも鹵獲しています。その後ガダルカナルへ投入される第38師団をラバウルへ輸送後、再びインド洋で通商破壊作戦を行いますが、蘭タンカー、オンデイナと護衛の掃海艇ベンガルと交戦し僚船の報国丸が砲撃を受け、搭載していた補給用魚雷に誘爆し沈没してしまいます。これにより防御力のない特設巡洋艦での通商破壊は行われなくなりました。
その後は特設運送船として清澄丸や護国丸らとソロモン、ニューギニア方面での輸送作戦に活躍します。しかし、米機動部隊のトラック島大空襲に遭い、被弾し搭載していた輸送弾薬類が大爆発を起こし愛国丸はトラック環礁内に沈没しました。
この愛国丸はピットロードから数年前に発売された時に、さっそく購入して製作したものです。
このキットは癖の多い(!?)ピットロードのキットの中ではとても組みやすく、シルエットも良好でモールドも繊細な非常に良くできたキットです。甲板もよく分割が考えられていてマスキングの手間も簡単にできるようになっています。この後発売された給油艦の足摺を作ったら、いつもの癖あるキットでしたがorz
キットのパーツ類は新装備セットのNEに準じた繊細なパーツで、そのままで組むだけでも報国丸型の優美な姿を再現できます。
愛国丸は大戦中盤以降は主砲を下し特設運送船として活動しました。
この愛国丸には架空の改装として主砲の14センチ平射砲を12センチ高角砲に換装し特設防空巡洋艦として、陸軍の防空基幹船のような感じにしてみました。
主砲はピットロードの海防艦用の12センチ高角砲に換装、船橋上には21号電探を装備し、13ミリ機銃を25ミリ連装に換装、煙突後方には25ミリ3連装を、魚雷発射管の上の甲板上にも3連装機銃を、後部砲座脇には連装機銃座を増設しています。他に船橋前単装機銃を2基ずつ装備しています。
武装の合計は12センチ高角砲8門、25ミリ3連装4基、連装4基、単装4基の合計24挺、53センチ魚雷連装発射管2基、零式水上偵察機1機、21号電探1基となっています。
片舷高角砲を5門指向できるので、割と強力な火力がありそうかも(^^)/
この愛国丸と報国丸のキットはとても作りやすくて、特設巡洋艦時代の迷彩塗装や偽装煙突、商船時代など見せ場のあるフネでおすすめです。
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